「鉄の成分」を海に沈めてコンブなどの海藻を茂らせる(育てる)取り組みを、2023年10月28日(土)の「どさんこWEEKEND」で放送しました。(写真は佐々木美波アナウンサー)
1960年ごろから北海道の日本海側の海ではコンブなどの海藻が消滅する「磯焼け」という現象が広がりました。
コンブはウニのエサとなり、ニシンの産卵の藻場にもなります。
海藻が豊かだからこそ海の恵みが得られるのです。
深刻な磯焼けにより、水揚げに影響が出ることを心配した漁師さんたち。
(左:増毛漁協 元組合長 西野憲一さん)
コンブの復活を願い「ある取り組み」を始めました。
増毛漁協がタッグを組んだのは日本一の鉄鋼メーカー「日本製鉄」です。
取り組みが始まったのは2004年。
増毛町の海岸に、鉄をつくる時にできる副産物「鉄鋼スラグ」と森の栄養分「腐植土」を配合した供給材を埋めていきます。
鉄鋼スラグ(左)はコンブを成長させ、腐植土(右)は磯焼けを抑える働きがあります。
その結果、増毛町の海では、コンブがぎっしり育つようになりました。
コンブが増えると、それをエサにしているウニも増えます。
別苅という地区では2014年からの3年間で、ウニの漁獲量も1.8倍ほどに増えました。
地元の増毛小学校では総合的な学習として海の環境や漁師さんの苦労を学んでいます。
2023年8月には、日本製鉄の研究者が、この取り組みを子どもたちに伝えました。
(日本製鉄 小杉知佳さん)
自分たちが住む町から全国にプロジェクトが広がっていったことを知り「応援したい」と話してくれた子どもたち。
思いはしっかりと伝わったようです。
増毛漁協がたどってきた歴史は、磯焼けに悩む全国の港町から注目され、日本製鉄による「海の森づくり」は全国45ヵ所で進められています。
コンブをよみがえらせる取り組みは、水産資源と地球を守ることにつながっているのです。