空知の雨竜町には、スーパーが1つもありません。
2023年10月、町で唯一の生鮮食料品店が閉鎖したのです。
雨竜町がとった対策は、週に1度の「買い物バス」。
約9キロ離れた、隣町のスーパーまで送迎して、買い物してもらうことでした。
北竜町のスーパー「ココワ」は公設民営。町が建設費3億8000円を出して
施設を用意し、経営は、民間に任せています。
しかし、雨竜町の白川町長は「負担が大きすぎて、公設民営の施設をつくるのは難しい」と考えていました。
2023年9月末のことです。
雨竜町長のもとに、コープさっぽろから「移動販売車」の話がありました。
おまかせ便「カケル」は荷台部分に肉や魚などおよそ1000品目を載せて
週に1度、雨竜町内を巡回することになりました。
利用客は・・・
「助かっている。車の免許ないから。(移動販売がなかったら)困るわ。」
コープさっぽろが移動販売を始めたのは2010年。
行政に代わって、困りごとを解決する、ソーシャルビジネスです。
「食のインフラをどうやって維持するかが一番の課題。車が運転できない高齢者が、お店に行かなくても、買い物できるようにする。」
ファイターズの本拠地「エスコンフィールド」がある北広島市も「買い物支援」に頭を悩ませてきました。
北広島市には1万4000人が暮らしていますが、駅前の商業地域を除くと
生鮮スーパーは1つもありません。
団地地区には4つの居住区があり、開発された当時、小学校が4つ、中学校が
2つ。いろんなお店が軒を連ねていました。(現在、中学校は2つ)
しかし、造成から50年以上たったいま、かつての店舗は、次々に姿を消しました。
買い物に行くバスも、減便が続いています。
団地地区の住民は
「不便だよね。いちいちバスに乗って買い物行くでしょう。」
(50年前は?)
「みんな若かったもの。車もあるし、バスもたくさん便があったしね。」
ここでは、移動販売車がなくてはならない存在です。
週に5日。3つのルートで巡回します。
2019年、コープさっぽろと北広島市は、買い物に困っている人を
支援する連携協定を結びました。
「近所のコミュニティになっている。交流ができるということで、コープさっぽろのモデル事業は、地域にとって良い事業に。」
日高町の日高地区は、2020年に苫小牧信金が支店を閉鎖し、
金融機関が1つもありません。融資の相談や通帳記入ができなくなりました。
「ここから25㎞の平取町振内(ふれない)にATMはあったが、廃止になった。
最低でも平取支店。富川支店まで行くとなったら70㎞、わざわざ行けない。」
不便を解消する手立て。それは、「カケル」に「ATM」を載せることでした。
移動販売車にATMを載せるのは「全国初」の取り組みです。
利用者A「お金をおろして買って、おろして買って。」
利用者C「この音が聞こえてきたら、(人々が)寄ってくる。大変便利。」
日高地区を担当している越渕(こしぶち)さん。
お客さん全員が、顔見知りです。
「この絵は、1人暮らしのおばあちゃんが年末にエビを買って、
絵に描いてもってきてくれた。こういうのをもらうと頑張らなきゃって」
現在、コープさっぽろの移動販売車は96台。道内の137市町村をカバーしています。